
副館長水井(宮川)の ラリックに咲いたシーボルトの「和の花」
箱根ラリック美術館(4/19〜9/23)レポート |
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4月18日、同展覧会のオープニング内覧会へ参加してきました。
新宿からプレス用チャーターバスで出発。2時間弱でまずは箱根湿生花園へ向かいました。
何故美術館の内覧会で”湿生花園”に?と思われた方も多いでしょう。(何を隠そう私自身がビックリしました。(笑)) 実は、箱根では花で結ばれた箱根を巡る「フラワー美ジットキャンペーン」という企画を行っているのです。この企画は、箱根町にある植物園と美術館などが主体となり花をモチーフにした箱根を巡るコースを提案したもので、実際に咲く花とモチーフになった美術作品を鑑賞するという、この植物園と美術館の企画展もその一環というわけなのです。
そして、今回の箱根ラリック美術館の展覧会は、すぐご近所さんの箱根湿生花園とのコラボレーションにより、本展覧会を楽しむことが出来るようになっています。
簡単に箱根湿生花園を紹介いたしますと、湿原をはじめとして川や湖などの水湿地に生育している植物を中心とした植物園です。(ちなみに神奈川県内にあるたった一つの湿原が箱根仙石原にある仙石原湿原です!)園内には低地から高山まで日本の各地に点在する湿地帯の植物200種のほか、草原や林、高山植物1100種、その他に珍しい外国の山草も含め約1700種の植物の花が咲く姿を四季折々に楽しむことが出来ます。
この日は途中から生憎の雨になりましたが、湿生花園内を案内していただきコースをめぐりました。
まだ花を付けていない植物もありましたが、箱根ラリック美術館の作品の写真が付いたプレートが25箇所に設置されているので、葉の形や花の形をしっかりと見ておこうと、植物を見る楽しみが増えました。勿論、美術館の作品に登場しない植物達の愛らしい姿にもうっとり。小さく可憐な花をつけている植物の前では自然と足が止まります。今回はプレスで来たのでゆっくり時間が取れませんでしたが、皆様には是非じっくりと楽しんでいただきたい施設だと思いました。季節ごとに咲く花も変わりますので何度訪れても、その度に新しい発見やお花との出会いがあって素敵な思い出が出来そうです。
さて、湿生花園を後にしていよいよ箱根ラリック美術館へ。以前スタッフルームのページでも書きましたが、箱根ラリック美術館の素敵なところは、スタッフの皆さんの対応の良さです。明るい笑顔と丁寧な挨拶で迎えていただいて入館するときから大変心地良いのです。
美術館への途中、ミュージアムゲートではクラシックカーとカーマスコットの展示がされていますが、展示内容が前回と変わっておりました。先日NHKで放映された「迷宮美術館」で同館の特集をご覧になられた方もいらっしゃるかと思いますが、その際は「カーマスコット」と呼ばれる車のラジエーターキャップの装飾品は”トンボ”でしたが、現在は女性像の「クリュシス」と「シレーヌ」に変わっています。こちらも素敵な作品ですのでお見逃し無く!
いよいよ美術館の企画展示室に足を踏み入れると、壁面には貴重なシーボルトが採集した日本の植物の標本(左画像参照)や、明治期に海外向けに製作された日本の花カタログの資料などが展示されており、ガラスのケース内には、ありました!ありました!”先ほど箱根湿生花園で見てきた植物達をモチーフにした作品が美しく飾られています。
そして展示ケースの中には今度は湿生花園で見られる花の写真と花の見頃が書かれたプレートが添えられています。これなら先に美術館を訪れた方にも、わかりやすく実物の植物を観にいく楽しみを提供できますね。グッドアイデアです。

貴重な「FLORA IAPONICA」
(『日本植物誌』の初版本)
著者はC.P.ツュンベルク
ツュンベルクもまた日本の植物を
海外に紹介したことで有名。
下の作品はチョーカー「果実」
モチーフの植物はクコ |

植浜植木カタログ
「リリーズ・オブ・ジャパン」
ユリはカタログ注文で受注発注され大人気を博した |

作品の左側に見えているのが
箱根湿生花園の植物のプレート。
見頃の他に、多くは花言葉も書かれていますので
お見逃し無く!
作品は「イヴリーヌ」
モチーフの植物はシダレヤナギ |
ところで、芸術家であるルネ・ラリックと植物学者として知られる医師シーボルト。この2人が今回の展覧会で結びついたのはどういうわけなのでしょうか?
学芸員の橋本氏が開会式での挨拶、及び同展覧会の図録内で、ラリックの作品によく登場するモチーフである”植物たち”が何の植物なのかを知るため、東京大学名誉教授・大場先生と、箱根湿生花園の学芸員・高橋氏に、全て見ていただいたと述べています。いわば植物学の見地から作品を見つめたのです。その過程でラリックは、非常に優れた植物の観察眼を持ち、厳しい視点で植物たちを描いたことがわかったといいます。デフォルメされたラリック独自の感性によるデザインでありながら、その大半が「属だけでなく種に至るまで特定することができるほど、特徴を明確に描いているものが少なくない」(図録の橋本氏の記述より)のだそうです。
そして、日本の植物を好んで描いたことでもらりっくの知られるラリックの、植物に対する観察力。それは、シーボルトの植物に対する視点と非常に近いものだと、大場先生はご挨拶の際におっしゃっていました。
シーボルトは長崎の出島で医師をしていたことで有名ですが、優れた植物学者でもありました。シーボルトは日本で出会った美しい庭に心打たれ、自分の国の家々の庭園を豊かなものにすべく、植物を多く持ち帰りました。「西洋の庭を繊細でみずみずしいものに変えたい」という思いがあったからだといいます。
本展覧会の目玉とも言うべき作品「ペンダント/ブローチ『ユリの女』」(右画像参照)。この作品のモチーフになったのは、日本のユリ(テッポウユリ)。ユリの根を日本から持ち出し、海外で開花させた最初の人物がシーボルトとだったそうです。シーボルトなくして、日本のユリが海外にもたらされることは、もしかしたら無かったかも知れません。そして海外で開花したユリの美しさに魅了されて、ラリックが素晴らしい作品を生み出すことも無かったのかもしれません。そう考えると、今回の一件どう繋がるの?というラリックとシーボルトの関係が際立ってくると思いませんか?
この展覧会は、ラリックとシーボルト2人の和の植物への想いをあらわす展覧会となっているのです。

香水瓶 彼女たちの魂
モチーフの植物はシダレウメ |

ペンダント/ブローチ「冬景色」
モチーフの植物はカラマツ、トウヒ |

屏風 カラス モチーフの植物はコウヤマキ |
美術館内には3箇所で花の香りを流しています。実際のお花から抽出したエッセンスで作った香りだそうです。そちらも表示がされておりますので、見つけてお楽しみくださいね!
その他、私のオススメは、勿論ラリックの作品や、貴重な資料もご堪能いただきたいのですが、企画展示室出口への通路に面して展示されている「海を渡った日本のユリ」のパネルです。ただ海外へ渡ったユリの紹介をするだけでなく、こんなところで日本のユリが!と思うようなネタ満載です。歴史と出来事が詳細に書かれた大変楽しいパネルなのでぜひぜひ読んでいただきたいと思います。
尚、常設展示室も「花」のモチーフの作品がずらり。是非こちらの展示もお楽しみ頂きたいと思います。
館内のレストランでは、企画展関連イベントも用意されています。
カフェレストラン「LYS」では、企画展限定スイーツ「ローズとシャンパーニュのパルフェ」(1200円)、企画展限定オードブル「ラリックとシーボルトへのオマージュ”春”」(1200円)が登場。試食するチャンスがありましたので、いただいてまいりました。バラの花びらのホワイトチョコ(本物そっくり!)と、甘酸っぱいフリーズドライのフランボワーズの下に、生のバラの入ったアイスクリームと、シャンパン(このシャンパンは同館でおなじみのオリエント急行で唯一公式認定されているものだそう)や、バラを使ったジュレが入っています。ジュレはアルコールっぽさが無く、さらっとして食べやすいものでした。
オードブルは、実際に食べられる花(エディブルフラワー)をあしらっており、本当に綺麗!そして何よりサーモンとホタテが美味しい♪食べてしまうのが勿体無いほどでした。(と言いつつ、しっかりいただきましたが。(笑)) あしらうお花は、季節に合わせて変える予定もあるとか。湿生花園同様、こちらも何度訪れても楽しめそうですね。

企画展限定スイーツ「ローズとシャンパーニュのパルフェ」 |

企画展限定オードブル
「ラリックとシーボルトへのオマージュ”春”」 |
ショップ「PASSAGE」では、”花”コーナーを設けています。普段使いの小物たちに花のモチーフを落としこんだアイテムがずらり。インセンスや、サシェ、インテリアフラワーなど、店内に花が溢れているようで時間を忘れて見てまわりたくなります。お気に入りの品がきっと見つかることとお思います。
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展覧会を見た後ではより一層
花たちに心惹かれます。
お土産に買って帰りたくなる商品が一杯♪ |
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本展覧会中、桜ユリ、キク・・・などなど「和の花」モチーフのお召し物で来館された方は、入場料が200円引きとなるそうです。今後も季節が移りかわる毎に、お出かけ前に和の花のモチーフを考えてお召し物を選ぶのも楽しくなりそうですね。
また、箱根湿生花園と箱根ラリック美術館の共通チケットも販売されています。
大人通常入館料2施設:2200円のところ、1700円という大変お得なチケットですので、是非両施設をご利用になられる方はご活用下さい。
最後に、本展覧会の図録もオススメです。今回の展覧会にいたるまでのお話を含め、いつも美しいモチーフとしか見てこなかった作品に登場する植物たちを、今後はじっくり楽しみながら見ることが出来る、そんなエッセンスがたっぷりの丁寧で親切な解説が程よいボリュームで書かれています。
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